はじめに
ウォーレン・バフェット氏はこう言ったそうです。
- The first rule of investing is: Don't lose money.
- The second rule is: Don't forget the first rule.
日本語では「絶対に損をするな」「絶対にルール1を忘れるな」と訳されるようです。
この言葉は、元々はいわゆるバリュー投資の文脈で現れたものだと聞いています(この言葉は"margin of safety"と対で現れます。margin of safetyとは本質的価値と市場価値の差のことです)。この言葉の本意はおそらく、本当の価値より高い買い物をするな、値動きに一喜一憂するような株を買うな、ということだと思います。
一方、この言葉は、バリュー投資を超えて、あらゆるリスク管理の本質を突いています。ルール1は、未来を予知できない人間には、守り通せるものではありません。だから、ルール2を守りなさい、損をすることの恐ろしさを理解し、そのリスクに常に配慮せよ、危ないものには近づくな、大怪我をしたら取り返しがつかないぞ、と言っているようにも見えます。
もちろん、リスクを恐れていては何も変わりません。たとえバリュー投資の文脈においても、株を買うことは本質的にリスクを取ることと同じです。この言葉から学ぶべき一般的なことは、リスクを取っても、取らなくてもいいリスクまで取るな、リスクを取ったらリスクを忘れるな、ということです。
とはいえ、それを理解し実践するのは、並大抵のことではありません。こと投資・投機に至っては、人の欲とは手に負えないもので、先の利益のみを見据え、手元のリスクに見向きもせず、トレンドに乗り遅れることに怯えて無鉄砲にポジションを持ってしまい、終いには目先のわずかな損を嫌って大怪我することも、稀ではありません。さらに悲しいことに、損したことに感情的になり、失敗を取り返そうとしてさらに傷を深くすることもあります。
ええ、分かってはいるのです。損をしてはいけないことは。勝つことよりも負けないことのほうが大切であることは。でも、それでも、悲しいかな、心の中であれやこれやに言い訳しながら、あるいは人のせいにしながら、今日も損失を計上してしまうのです。悲しくて悲しくて、とてもやりきれないのです。
このブログは、このやるせないモヤモヤを誰かに告げるためのものです。株でも投信でも先OPでもFXでも日常の買い物でも災害でも事故でも何でもいい、何か損をしたときの状況と侘しさを、ここに残していきたいと思います。そうすることで、この限りないむなしさの救いを見出したいのです。
願わくば、このもえたぎる苦しさが明日に続きませんように。